船を洗う日
暑い日のこと。
年に一度の「船を洗う作業」をしてきました。
普段は海に浮かんでいる船ですが、ずっと海に浸かっていると、船底にフジツボや藻がびっしりとついてしいます。
放っておくと水の抵抗が増え、スピードも出ににくなり、燃料の無駄にもつながるんです。
だからこの時期になると、船を陸に上げて、きれいに掃除する必要があります。
船を運転して「マリン」ヘ
朝、船に乗って自分で堤防の近くにある「マリン(船を上げ下ろしする場所)」まで向かいます。
天気もよくて波も穏やか。風も気持ちよくて、ちょっとした船旅みたいです。
到着すると、舟屋でウインチを使って、船を載せたままの「船揚げ台ごと」引っ張り上げます。
それを、大きな18トン式のフォークリフトで持ち上げ、地面から1メートルくらいの高さにある台座へ
迫力のある作業で、船が持ち上がっていくのを見ると、「コロンって落ちたりしないかな」と、毎回ちょっと緊張してしまいます。
高圧洗浄機で一気に洗う!
船がしっかりと固定されたら、エンジン式の高圧洗浄機を使って洗浄開始
船底には、海で潜っていた部分にフジツボや汚れがびっしりとこびりついています。
それを水圧で一気に吹き飛ばす。
洗い始めると、ゴロゴロと汚れが剥がれ落ちていって、船がどんどんきれいになっていきます。
ただし、このエンジン式の高圧洗浄機、とにかくパワーが強い!
熊さんの体は平均よりも大きいほうですが、それでも水圧に負けそうになるくらいで、体全体を使って洗浄しないともちませ。
腕の力だけでやろうとすると、10分も続けるのがやっとです。
船も、自分もリフレッシュ
こうして毎年1回、暑い中での船洗いを終えると、なんともいえない達成感があります。
汗だくでクタクタになりますが、ピカピカになった船を見ると「よし、今年も頼むぞ!」と声をかけたくなります。
船にとっても、これは大事なメンテナンス。
きちんと手をかけてやることで、船は長持ちもするし、安全にもつながります。
エンジンヘの負担も減って、結果的に燃料も節約できる。つまり、海にもやさしいということですね。

ちなみに海の上には車のように道がありません。
潮の流れや風、波の影響を受けるので、燃費はだいたい・・・
1リットルで200~400メートル程度しか進みません
船もひと休み
船も、道具も、人の手があってこそ。
そうやって手をかけることで、また一年、海に出る準備が整います。
こういう作業をしていると、ふと、昔のことを思い出します。
母がいた頃は、道具の手入れや片づけが自然と行き届いていて、今思えば、そういうところに母らしさが出ていたのかもしれません。
「人に見えないところほど、きちんとしとくもんよ」って、よく言ってました。
洗い終えた船を眺めながら、その言葉がふと、胸に浮かびました。
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