海苔漁師の夏の仕事

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梅雨が戻った湿気の中で

ここ数日、九州は大雨続きです。
ついこの前まで「雨が降らない」と騒がれていたのが嘘みたいに、朝からしとしと降ったり、時にはザァーッと強く降ったり。

そのおかげで、田んぼの地面は乾燥でひび割れていましたが、今では水たまりができるようになりました。
空気はすっかりジメジメ。まるで梅雨が戻ってきたような、まとわりつく湿気です。

扇風機を回しても、あまり涼しさを感じないほど。作業をしていると、背中にじっとりと汗がにじみます。

「二段ブロ落とし」とは?

そんな中、今日は「二段ブロ落とし」の点検と修理をしました。
壊れていたものを直すついでに、シーズン前の総点検です。
この道具は、海苔養殖の支柱につけるもので、9月から4月末まで干潟に刺してある支柱を、フジツボから守ってくれます。
うちの地域ではフジツボのことを「ブロ」と呼びますが、このブロが支柱にびっしり付くと、4月の「竹上げ」のときにとても苦労します。

二段ブロ落としは、支柱に輪っかを通して設置します。
潮の満ち引きで支柱にこすれ、小さなブロを落としてくれる仕組みです。
目に見えないほどの小さなうちに落とすことで、大きくなるのを防ぎます。
ただし、大きなブロになってしまったものには効果がないので、予防が大切です。

シーズン前の点検と修理

長さは1.5メートルから0.75メートルまでありますが、今回修理しているのは1.5メートルのタイプ。
赤い塊が「浮き」、上側には小さな輪、下側のいつも海に沈んでいる方には大きな輪がついています。
見た目は単純ですが、シーズン中ずっと潮に揉まれ続けるため、ワイヤーや部品の劣化は避けられません。
だからこそ、シーズン前の点検が欠かせないのです。

作業は、木の台の上でペンチや金ノコを使い、古くなった部分を交換していきます。
浮きの固定用のワイヤーが切れていれば止め直し、輪っかの外れや歪みもチェック。
「今年もまたブロがすごかやろうな~」
と熊さんがつぶやくと、横で作業していた親父さんがぼそっと返しました。
「ここ2、3年は暖冬だから多かもんね」

「雨の日は作業がはかどるけど、ジメジメはかなわん」
確かに、外作業ができない日はこうした準備を進められますが、この湿気には参ります。
それでも、ふたりで黙々と手を動かしていると、不思議と時間が早く過ぎていきます。

地味だけど大事な一手間

こういう地味な作業は、やっているときは単調ですが、シーズンに入ってからの働きが大きいものです。
二段ブロ落としをしっかり整えておけば、竹上げのときにあの重労働を少しでも軽くできる。
そのための一手間だと思えば、少しは気持ちも楽になります。

雨音と扇風機の音を聞きながら、浮きを並べていくと、夏の終わりが近づいているのを感じます。
海苔のシーズンはもうすぐ。海も、私たちも、少しずつ準備を整えていきます。

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