綱の準備と母の思い出、そして夏の夕立

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小屋の中で続く綱の点検作業

今の時期は、シーズンに備えて「支柱用の綱」の点検を進めています。
長さはおよそ2メートル。シーズンになると、この綱を支柱にぶら下げて使うんですが、そのまま付けてしまうと、潮の流れの影響で支柱に巻き付いてしまうんです。
そうなると、いざ海の上で作業する時に「巻き付いたものを解いて→左右を確認して→アミに付ける」と無駄な手順が増えてしまう。

そこで、綱を左右均等に「天秤の形」に結んでおくことが大事になります。
天秤の形に整えておけば、端を引っ張るだけでスッと解けて、すぐにアミに取り付けることができる。絡まる心配も減るので、一つの作業で最大限の効率が出せるんです。
地味な作業ですがここを丁寧にやっておくかどうかで、シーズン中のスピードが大きく変わってきます

作業場所は小屋の中。道具を広げ、扇風機を回してはいるものの、真夏の小屋はやっぱり暑い。
親父と二人で黙々と綱を引きながら、「暑いなぁ~」と心の中でつぶやきます。
いつも同じ場所で綱を強く引っ張るせいか、手の皮が薄くなってきているようで、じわじわと痛みが出ることもあります。とはいえ、日常生活に支障があるほどではありません
こうして一つひとつ手を動かしていく感覚が「準備をすすめているんだな」という実感にもつながります。

母と一緒に食べたアイスの思い出

この作業をしていると、ふと母の事を思い出すことがあります。
母が生きていた頃は、綱のバランスを取るのは母の役目で、親父と熊さんが結んでいました。
三人でやっていた時の雰囲気は、今でもはっきりと思い出せます。

そしてもうひとつ、母の思い出と重なるのが「アイス」。母はアイスが大好きで、暑い日は三人でよく食べていました。今は二人になりましたが、やっぱり夏になるとアイスを買ってしまいます。
ただ、買いに行くのも一苦労。暑い日はすぐに溶けてしまうので、クーラーボックスに氷を詰めて出かけないといけませんし、どの店に先に寄るかも考えないといけません。
今は熊さんがその段取りを考えて動いていますが、前は母がやってくれていたので、こんなに手間があるなんて思いもしませんでした。
母の姿がなくなって初めて、「あの時もこんな工夫をしてくれていたんだ」と気づかされます

そう思うと、ただのアイスもどこか特別に感じられます。
今年も冷たい甘さに助けられながら、母の面影を思い出しています。

夕立の前触れと感じる季節

お盆を過ぎてからは、この地方では夕立がよく来るようになりました。
降る時は一気に、空を切り裂くような勢いで雨が落ちてきます。降らない日でも、空が暗くなり、遠くからゴロゴロと雷の音が響いてきます。

夕立の前は、必ずといっていいほど風が吹いてきます。その風は驚くほど冷たく、どこか「雨の匂い」を含んでいるように感じます。そんな時、親父が「この風は・・・降るな」とつぶやき、熊さんが「そうだね~風も冷たいし、雨の匂いもするね」と返す。
二人の感覚が一致する時は、不思議と高い確率で的中します。

夏の夕立は厄介でもありますが、冷たい風が吹き抜けてきた時は、ほんの一瞬だけ暑さから解放されるのも事実です。
親父と二人、雨雲を眺めながら「来るか、来ないか」とやり取りする時間も、今となっては大事な季節の一コマになっています。

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