最近の海は昔と少し違う

二期作を振り返りながら海を見つめる熊さん ブログの投稿

有明海で海苔養殖をしているクマさんです。

今年の二期作を振り返ると、まず最初に思うのは「本当に難しい海だったな」ということです。

色落ちや栄養塩不足に悩まされながら、海の変化を強く感じる年になりました。

今年はとにかく雨が少なかったですね。

さらに風も弱い日が多く、海がなかなか混ざらない状態が続いていました。

有明海では、雨や風によって海が混ざり、栄養塩が行き渡ることで海苔が育ちます。
でも今年は、その栄養塩がかなり不足していたように感じました。

海の色も、いつもの冬の海と比べると少し明るい色をしていて、「あぁ、これは栄養が足りてないな」と感じる日も多かったです。

色落ちも沖から少しずつ進んできました。

ただ、不思議だったのは沖と岸寄りで状態に差があったことです。

沖では色落ちが進んでいても、岸寄りではまだ色が残っている場所もありました。

同じ海でも、少し場所が違うだけで状態が変わる。

改めて、海苔作りは自然相手の仕事なんだと感じました。

人間の思う通りにはなかなかいきませんね。

二期作の最初の頃は、沖でも黒い海苔が取れていました。

艶も良く、香りも悪くなかったと思います。

見た目だけなら、「今年もいい海苔が出来そうだな」と感じる部分もありました。

けれど、実際に食べてみると少し違和感がありました。

海苔自体は柔らかい。
でも、味が少し弱い。

そして一番気になったのは、「歯切れ」でした。

有明海の支柱式の海苔は、潮が引くことで網が海の上に出て、風と太陽に当たりながら育ちます。

その乾湿を繰り返すことで、有明海独特の香りや旨味、そして歯切れの良さが出ます。

クマさん自身、その「歯切れ」が有明海の海苔の魅力の一つだと思っています。

だからこそ、柔らかいだけではなく、「パリッ」と切れる感覚が弱かったのは少し悔しかったですね。

同じ海苔でも、海の状態が変わるだけでここまで違いが出る。

改めて、海苔の難しさを感じました。

今年は雨が少なかった影響なのか、放射冷却のせいで夜中にかなり冷え込む日がありました。

船の温度計で、夜中に−4℃を表示した時はさすがに驚きましたね。

海の上は風を遮るものがありません。

冷たい風がそのまま体に入ってきますし、水しぶきもかなり冷たいです。

手も痛くなりますし、指先の感覚が鈍くなる日もありました。

そんな寒い夜に、親父と作業をしながら海の話をしていました。

その時、親父がふとこんなことを言いました。

「最近の海では、昔の知識があまり効果ないようだったな」

その言葉が、なんだか少し心に残りました。

親父は長年、有明海で海苔を作ってきました。

昔は経験で読めていた海の変化や流れが、最近はその通りにならないことが増えている。

もちろん自然相手の仕事なので、昔から難しさはあったと思います。

それでも、「昔の感覚が通じにくくなっている」というのは、海そのものが少しずつ変わってきているのかもしれません。

長年海を見てきた人がそう感じるくらい、最近の海は昔と違ってきているのかなと感じました。

今振り返ると、もっと大胆な判断をしても良かったのかなと思います。

網の高さをもっと変えてみる。
沖の網を岸寄りへ移動する。
余る網を一度陸へ上げて、残した網を集中して管理する。

そういう判断をもっと早くできていれば、結果も少し変わっていたのかもしれません。

クマさんの網は病気が入ったこともあり、どうしても後手後手に回ってしまいました。

隣の網は問題なく育っているのに、自分の網だけ状態が悪い。

そんな時は、「なんでだろう」と考えながら毎日海を見ていました。

海苔作りは、最後は判断の積み重ねなんだと思います。

特に今年みたいに海の状態が不安定な年は、少しの判断の違いが結果に大きく影響するのかもしれません。

海の状態に振り回される、難しい年だったと思います。

最近は外国産の海苔もかなり増えてきました。

価格だけを見ると、なかなか厳しい部分もあります。

だからこそ、有明海の海苔ならではの良さをもっと出していかなければいけないと思っています。

有明海の支柱式の海苔には、香りや口どけ、歯切れなど、ちゃんと違いがあります。

クマさん自身、その違いをもっと伝えていきたいです。

今年は悔しい部分もありました。

でも、味そのものは悪くなかったと思っています。

だからこそ、「もっと良く出来たんじゃないか」という気持ちも残っています。

来年はもっと枚数を取れるように。

そして、「やっぱり有明海の海苔は美味しい」と思ってもらえる海苔を作れるように。

また海と向き合っていこうと思います。

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