海苔のシーズンが終わったら向かう場所

海苔のシーズン後に訪れた桂浜で海を眺める熊さんと豚のぬいぐるみ ブログの投稿

海苔のシーズンが終わると、毎年父と旅行へ出かけています。

一年の大半を海で過ごしているので、シーズン中はなかなか遠出をすることができません。海苔の収穫が終わり、少しだけ時間に余裕ができるこの時期になると、「今年はどこへ行こうか」と話すのが我が家の恒例になっています。

その中でも、何度も訪れている場所があります。

香川県の金刀比羅宮、そして高知県の桂浜です。

今回は、そんな我が家の恒例になった四国旅行について書いてみようと思います。

今から10年ほど前のことです。

家族で何気なく旅行の話をしていた時、父と母は昔、金刀比羅宮へ行ったことがあるという話になりました。

ところが、私は一度も行ったことがありませんでした。
そもそも四国へ行ったことすらなく、瀬戸大橋も見たことがありません。

すると、

「それなら一回行ってみようか」

という話になり、家族で四国へ向かうことになりました。

今思えば、それが毎年続く旅行の始まりでした。

そして、その時に母が言った言葉を今でも覚えています。

「毎年行けたらいいね」

その時は何気ない一言だったと思います。

まさか本当に何年も続くとは、きっと誰も思っていなかったでしょう。

金刀比羅宮は「こんぴらさん」と呼ばれ、昔から船乗りや漁師たちに親しまれてきた場所です。

海の仕事をしている私にとっても、どこか縁を感じる場所です。

もちろん最初に行った理由は、「海の神様だから」というより、「クマさんが行ったことがないから一度行ってみよう」という軽い理由でした。

ですが、何度も訪れるうちに特別な場所になっていきました。

毎年参道を歩き、長い石段を登り、本殿までお参りをする。

気が付けば、それが我が家の恒例行事になっていました。

金刀比羅宮へ行く楽しみは、お参りだけではありません。

参道には昔からお気に入りのお店があります。
その中の一つが鶏料理のお店です。

母は若い頃、お肉屋さんで働いていたことがありました。
そのため鶏肉のことに妙に詳しく、

鳥はここば切るげっと身の外れるよ

と得意げに話していました。

そして実際に上手に骨から身を外して見せてくれるのです。
今思うと少し自慢げだった気もしますが、そのドヤ顔も含めて良い思い出です。

そして母が毎回楽しみにしていたのがソフトクリームでした。

参道のお土産屋さんには、いろいろなご当地ソフトクリームがあります。
カラフルなおいりが乗ったものや、香川らしい出汁ソフトまでありました。

興味本位で食べてみたこともあります。
確かに出汁の味がしました。

ですが食べ終わった母の感想は、

やっぱり九州の出汁がおいしかね

でした。

せっかく香川まで来ているのに、その感想なのかと思って笑った記憶があります。

それでも毎年新しいソフトクリームを見つけては楽しそうに選んでいました。

金刀比羅宮といえば長い石段が有名です。

母は足があまり強くありませんでした。
それでも毎年、本殿まで登ることを楽しみにしていました。
もちろん途中で何度も休憩します。

そのたびに、

疲れたけん、ちょっと腕ばかさんね

と言いながらクマさんの腕につかまってきます。

そして、

引っ張って行って!

と言うのがお決まりでした。

当時はクマさんも若かったこともあり、

「また休憩か」

と思うこともありました。
少し煩わしく感じたことも正直ありました。

ですが今振り返ると、その時間も含めて楽しい旅行だったのだと思います。

今は父と二人で石段を登ります。
母がいないので休憩の回数も減りました。
登る時間も昔よりずっと短くなりました。

ですが、不思議なことがあります。

母とよく休んでいた場所に来ると、今でも自然と足が止まるのです。

「ここで休んでたな」

そんな話をしながら父と少し腰を下ろします。

登る時間は短くなったのに、その場所だけは昔と変わりません。

たぶんこれから先も変わらないと思います。

四国旅行の思い出で欠かせないのが、愛媛県の道後温泉にある椿館です。

母が特に気に入っていた旅館でした。
理由は温泉でも料理でもありません。

ハーゲンダッツです。

当時は食べ放題だったので、

取ってきて

と言われて何度も取りに行かされました。

バニラを持って行ったら次は抹茶。
抹茶を持って行ったら今度は違う味。

私は完全に運び屋です。

それでも楽しそうに食べている姿を見ると、こちらも嬉しくなったものでした。

旅行の帰りには必ず買うものがあります。

参道のお船煎餅。

そして今治タオルです。

お船煎餅は昔からの定番ですし、今治タオルは使い心地が良くて何枚あっても困りません。

旅行先で新しい物を買うこともありますが、この二つだけは毎年ほぼ変わりません。

こういう変わらない習慣も、長く続く旅行の楽しみの一つなのかもしれません。

母が亡くなってから、少し変わったことがあります。

母が枕元に置いていた豚のぬいぐるみを、私が旅行へ連れて行くようになりました。

バッグの中に入れて、一緒に四国へ向かいます。

そして写真を撮る時には、その豚ちゃんも一緒です。

人から見たら少し変わっているかもしれません。
ですが私にとっては自然なことです。

家族で始まった旅行だからこそ、今でも一緒に連れて行きたくなるのでしょう。

最初は「一度行ってみようか」から始まった四国旅行。

気が付けば10年近く続いています。

母が言った

「毎年行けたらいいね」

という言葉も、本当にその通りになりました。

今は父と二人の旅行になりましたが、参道の景色も、お気に入りのお店も、石段の休憩場所も変わりません。

そして写真を撮る時には、いつも豚のぬいぐるみが一緒です。

海苔のシーズンが終わると、またあの場所へ向かいたくなります。

今年も無事に行くことができました。

そして来年もまた、父と一緒にあの石段を登れたらいいなと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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